会長コラム『波動』

労基法等改正法案の修正等をめぐる一連の騒動に想う

 労基法改正をめぐる「連合」の一連の動きが、組織内外から大きな注目を集める事態になってしまいました。その多くは、節々での新聞報道に象徴されるように、本旨である「労基法改正」をめぐる連合の対応に留まらず、①国政との関連、②民進党との関係、③連合役員人事との関係――などが、憶測を含め混然一体に報じられ、そのことに起因して、少なからず連合組織内に動揺や混乱をもたらす事態となってしまいました。極めて残念なことです。

 ことの経過は、対処方針が最終確認された臨時中執(7/27)を受け発出された「事務局長談話」(連合HP参照)を是非ご覧になって頂きたいと思いますが、労基法改正をめぐり、連合が一貫して反対の立場をとってきた「高度プロフェショナル制度創設(以下、高プロ)」「企画業務型裁量労働の対象業務拡大(以下、裁量労働拡大)」を盛り込んだ2015年提出の継続審議法案と、働き方改革実行計画に基づく法案(罰則付き時間外労働の上限規制等)の2本が一本化され、この秋の臨時国会で審議入りし、高プロ・裁量労働拡大が無傷のままで強行されかねないとの危機感から、連合本部が、この間の水面下での折衝を経て、7月13日、政府に対して最低限の是正を要請したことがことの発端でした。

 この政府要請に先立って、7月8日に連合本部三役会、7月11日に執行委員会懇談会が急遽開催され、連合本部として一定の手続きはとられたものの、総じて言えば、多くの構成組織・地方連合会は「新聞報道」で知った状況もあり、丁寧な論議を経た機関確認というプロセスを経ずの政府要請は、連合内部に強い違和感と唐突感を抱かせる結果となってしまいました。

 また、民進党との意思疎通も十分に図られていなかったようで、禍根を残すことになった事実とともに、内閣支持率が急落する安倍政権への「助け舟」になってしまうとの批判を浴びたことや、「一部の幹部が主導し会長が直前まで知らなかった」などと言う事実を歪曲した報道、さらには、連合役員人事と絡めた憶測記事などが、組織内外の疑念や混乱・動揺に拍車をかけてしまいました。極めて遺憾なことです。こうした一連の報道に対し、節々で連合見解や反論も発出されましたが、残念ながら全体化されず、一方的な偏重報道に踊らされてしまった感は否めません。

 さらに、高プロ・裁量労働拡大の「反対方針」の旗は降ろしていないとしつつ、政府要請の「最低限の是正」のみの政労使合意をめざすとの対応スタンスは、いくら「方針転換ではない」と強調されても、組織内外には「方針転換」としか受け止められなかった点も、その解り難さを象徴しており、誤解が誤解を招く状況につながったのではないかと思えてなりません。

 いずれにしても、本件をめぐる連合本部の一連の対応によって、組織内外において疑念・戸惑い・動揺・混乱が生じてしまいましたが、最終的には、短期集中した民主的な営みを経て、7月27日の臨時中執において「政労使合意の締結は見送る」との確認がされたところです。

 こうした連合本部の対応は、民主的な組織運営という点において問題があったとの指摘は免れませんが、連合本部がめざそうとした真意は、決して全否定されるものではありません。国会審議を通しての修正も可能ではあるものの、現状の「一強政治」の国会情勢に鑑みた時その保障はなく、最悪無修正で強行されかねないとの「やむにやまれぬ」想いからの対応であったこと。加えて、法案一本化作業のため継続審議法案が一旦取り下げられるタイミングを捉えて、高プロの対象労働者の健康確保措置、裁量労働拡大の対象業務の限定化などを押し込んでおくための最低限の是正要請であったことなどが、真意であったと言うことです。

 しかし、組織内手続きや是正要請内容に対するコンセンサスが十分でなかったこともあり、その真意が正しく受け止められなかった事実は謙虚に受け止め、ことの真相は組織全体で認識共有することが必要です。

 そのうえで、今後の対応に万全を期すとともに、連合の団結力への影響を最小限に食い止めなくてはなりません。この間の一連の対応と軌道修正した結論が、今後の法案策定や労働政策審議会での建議に向けた対応に、どう影響するのかを見極めたうえで、秋の臨時国会での法案審議においては、民進党等との連携が鋭く問われることになります。同時に、一連の対応で低下が懸念される組織内外の信頼感をいかにして回復・復元していくのか。少なくとも、「連合指導部と組合員」「連合と市民」「連合と民進党」などの「分断」と言う、あってはならない流れに抗していかねばなりません。こうした困難なときだからこそ結束力強化が不可欠です。決して疑心暗鬼に陥ることなく、真正面から向き合ってくことが最も重要となるでしょう。

 今回の一連の騒動を連合全体の教訓として、「連合結成30年」となる2019年までの向こう2年間の連合運動に一丸となって邁進することによって、大会スローガン(案)である「次の飛躍へ 確かな一歩を」めざそうではありませんか。連合兵庫に結集するすべての仲間の皆さんに、そのことを強く呼びかけたいと思います。