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悪しき常識を転換して「長時間労働撲滅」「過労死ゼロ」へ

 昨年9月から論議が進められてきた「働き方改革実現会議」において、3月末に「実行計画」が決定され、19の改革項目とロードマップが示されました。

 この間、節々でマスコミ報道もありましたが、実行計画まとめに至る経過の中で、連合の主張や事の顛末等が世の中に正しく伝えられ受け止められているとは言い難い面もあるようですので、今回は、この長時間労働是正の課題に絞って認識を共有しておきたいと思います。

 ことの真相は当事者の話を聞くのが一番。連合兵庫三役は、この実現会議に働く者の代表として参画された神津連合会長から直接話を聞く機会を頂いたのですが、その後、会長ご自身が連合のフェイスブックでその内実や意義を発信されていますので、そのポイントを紹介します。

 

 『この会議の論議過程が淡々としたものになってはならないという強い思いを持って臨んだ。とりわけその思いを強固にしたのが1月末に相次いだ「政府案」の先行報道。軒並み「繁忙期は100時間」というタイトル。私は直後の同会議で「1ヶ月100時間などは到底あり得ない。(過労死認定基準との)距離感を明確にすべきだ」と発言したのは一連の報道内容に対する率直なリアクションである。私がどうしても看過できなかったのは、平気な顔で「繁忙期は100時間」などという見出しがつくられ、そしてそれが一斉に出回りそれを許容してしまうという、社会の悪しき常識の上塗りだったのだ。その後、労使での合意がなければ法改正はできないと総理から言われ労使協議となったわけだが、結果的には当初想定していなかった範囲まで様々な手立てを構築できた。いわゆる過労死ラインとの明確な距離感をつくるための原則やインターバル規制などの努力義務も課せられた。労使がこれを整斉と実行するならば、これまでの悪しき常識をくつがえすことは十分に可能なはずだ』とその意義を訴えられています。

 

 つまり、一連のマスコミ報道が「繁忙期に100時間残業は当たり前」といった誤ったメッセージになりかねないとの強い危機感が会長にはあったからだと思いますし、「未満」か「以下」かという狭義の問題でなく、同時に安倍総理が労使どちらの肩を持ったかというような次元の問題でもないと言うことです。

 また、そもそも政府召集の会議体でありながら、安倍総理は議長の責任を「労使合意がなければ法改正はできない」と恫喝紛いの丸投げをしておいて、労使の真摯な協議で合意に至るや、「責任は労使、手柄は政府(自分)」と言わんばかりの展開とマスコミ報道になったことも、私たちは見過ごしてはなりません。

 神津会長はこうしたマスコミの報道姿勢に対しても、『相変わらず100時間の数字や法の抜け穴的なところを際立たせる傾向がある。このことが結果として、ブラック企業たちに対する間違った気づきや素材の提供になってはならない。悪しき常識に引きずられた企業の取り締まり強化や、問題のある36協定をなくしていくことが不可欠であり、そのあたりもシッカリと報道されることを強く望む』と注文も忘れられてはいません。

 

 このたび、労働基準法70年の歴史の中で特筆すべき大改革とされる「罰則付きの時間外労働規制の導入」をはじめ、「勤務間インターバル制度に努力義務」「過労死等を防止するための対策」などが方向づけられました。

 今後、「実行計画」に基づく法・制度整備の論議は労働政策審議会で進められることとなりますが、実情を最も熟知した現場の労使の取り組みが重要であり、その営みを通じて、実効性をより一層高めていかなくてはなりません。とりわけ、労働組合に組織された私たちこそが、それぞれの持ち場・立場で、その社会的な役割を発揮しなければならないことを肝に銘じたいと思います。

 

 最後に、神津会長は以下ように締め括られています。

 『過労死・過労自殺という非常識な現実をくつがえすためのスタート台はつくられた。残業が必要ならば、必ず従業員代表と36協定を結ぶこと、そしてその限度時間は原則的上限である「月45時間・年360時間」に収まるものとすること。この本来の常識が、名実ともに常識となる日を一刻も早く実現しなければならない。連合は旗を振り続けていく!』と。