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連合兵庫第27回地方委員会開催

  • 場所:神戸市 ラッセホール
  • 時間:2010年10月25日

復興・再生に全力を尽くし
「働くことを軸とした安心社会」につなげよう


◆連合兵庫は10月25日(木)、神戸市中央区のラッセホールで、第27回地方委員会をひら きました。◆地方委員会は役員・地方委員など約200名の出席のもと、2013年度活動計画・当面する政治活動方針・組織拡大取り組み報告などを審議、真摯な討議の結果、それぞれ執行部提案のとおり承認・決定しました。

主催者挨拶 会長代理  村  上     昇  

おはようございます。連合兵庫第27回地方委員会に県下各地からご参集いただきました構成員・地方委員の皆さん、大変ご苦労さまでございます。会長代理の村上で ございます。冒頭、司会者の山名会長代理からもございましたように、異例ですが、森本会長の出席がかなわなくなりましたので、私から地方委員会開会にあたり代表してご挨拶を申し上げたいと存じます。

  まず、本地方委員会には、公務ご多忙の中、兵庫県より井戸知事、神戸市より中村副市長、民主党兵庫県連代表の松本衆議院議員、そして来年夏の参議院選挙を闘われます辻参議院議員、労働者自主福祉団体の各ご代表様、兵庫高退連より藤江会長、部落解放同盟兵庫県連より橋本書記長など、多くのご来賓の皆様にご臨席を賜っております。ここで、日頃のご指導とご厚誼に対する感謝の意も込めて、全体の大きな拍手で御礼に代えたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)本当にありがとうございます。

  さて、本地方委員会は、昨年10月に開催した第13回定期大会から1年が経過し、2年間の運動方針をこの1年間どう実践してきたかを振り返り、残された向こう1年間の課題を確認することが主要議題となります。

  また、本委員会は、年内の解散・総選挙が想定されるなかで、そうした事態にも備えるため、午前開会の1日会期とさせて頂きました。予想に反して、解散時期は来週29日に召集される臨時国会での与野党攻防如何との情勢となっています。その意味で今日は、十分に論議の時間がございますので、是非とも真摯な論議をお願い申し上げておきます。
  私からは、向こう1年間の運動を展望し、以下3点の運動課題に対する所信の一端を申し述べ挨拶にかえたいと思います。

  第一の課題は、「東日本大震災からの復興・再生」についてです。

  大震災から1年半余りが経過しましたが、今もなお数多くの被災者が生業や雇用の場を失って生活基盤を揺るがされ、加えて、30万人を超える人たちが仮住まいを余儀なくされるという現実にあります。

  また、原発事故によって周辺地域に広がった放射能汚染もいまだ収束のめどは立たず、故郷を離れ避難生活を送る住民も10万人とされています。

  この国難ともいえる東日本大震災に遭遇して、17年前に阪神淡路大震災を経験した私たちが改めて思ったことは、自然の巨大なエネルギーの脅威を前にした私たち人間の無力さと同時に、そうした中でも、先人の知恵を引き継ぎ、現代の叡智を最大限投入して、自然災害のリスクを可能な限り低減させていく努力も積み重ねていく必要があるということ、加えて、それぞれのコミュニティにおいて「支え合うこと」「助け合うこと」そして「絆」の大切さを再認識したことです。

  連合兵庫はこの間、「阪神淡路大震災で受けた支援の恩返し」を合言葉に、緊急カンパや現地ボランティア活動に取り組むとともに、この1年間は、県内避難者への支援との想いから、県行政への要請行動や恒例の「もちつきフェア」への参加案内、そして東北物産展なども開催してきました。また、連合宮城の協力のもと移動三役会議を仙台で開催し、被災地の現状視察も行いました。さらに、本年5月には、震災を風化させないとの想いを込め、連合福島の今泉事務局長と県立舞子高校の諏訪先生を講師にお招きした講演会とボランティア活動参加者の経験交流などの「震災イベント」を催し、成功裏に終えることができました。その「震災イベント」報告書も発刊したところです。

  私たちは決してこの震災を、また震災から得た教訓を風化させてはなりません。震災以降も頻発している自然災害等に対する支援も含め、阪神淡路大震災を経験し、多くの支援を受けた地方連合会としての使命・役割を自覚し、個人として、組織として被災地・被災者を支援する活動を模索し続けていく必要があります。どうか皆さんの今後とものご協力をお願い致します。

  第二の課題は、「組織拡大と強化」そして「地域に根ざした顔の見える連合運動」の推進に向けた取り組みでございます。

  昨年の定期大会において森本会長が強調されたことですが、「数は力であり、継続は力と言います。どのような時代になっても、労働組合が社会の公器として存在し、その役割を果たしていくためには、組織拡大・強化を抜きには出来得ません。」このことに尽きると思います。

  連合兵庫は昨年の大会で、「1000万連合実現」の方針を受け、「40万連合兵庫」をめざすとの方針を確認しました。この1年間、組織拡大特別委員会やプロジェクト会議における論議を経て取りまとめられた「アクションプログラム」を本委員会の特別報告として扱い、それらを反映した活動計画に基づき、2020年という目標達成年に向けた第一歩を歩み出すこととなります。

  すべての構成組織は、産別本部指導のもと、組織拡大を運動の柱に位置づけられていることと思います。しかし、企業によるビジネスモデルの変化やリストラ、正規から非正規への置き換えなど、労働組合にとって非常に厳しい環境変化のなかで、思うように取り組みが進まない、また、そのことが、対応不足や経験不足につながり、組織として求められる「役割・機能」の低下や魅力の減少などといった悪循環に陥っているのが、今日的な全体状況ではないかと思います。

  企業内組合の限界論を乗り越えるためにも、「40万連合兵庫」をめざす取り組みを契機に、この悪循環を立ち切り反転攻勢させなくてはなりません。そして、組織の在り方を見直し、改革を進め、組織拡大をめざすことを通じて、人材を育成し、「体制・組織強化」を図っていくことに、この取り組みの大きな目的があります。

  したがって、「1000万連合」「40万連合兵庫」という数にこだわることも必要ですが、実現をめざすプロセスが極めて重要であることを改めて確認し合いたいと考えるところです。

  この取り組みを進めるにあたっては、構成組織・地域協議会そして連合兵庫が三位一体となって取り組むことはもとより、それぞれのリーダーの本気度が試されることにもなります。中央産別組織においては、それぞれの産別事情等も抱えるなか、温度差が生じているとも言われていますが、連合兵庫においては、この間、営々と築き上げてきた組織間・地協間の信頼関係に裏打ちされたネットワーク基盤をフルに活かし、他の地方連合会からも注目されている組織拡大推進体制をさらに強化して、堅実かつ地道な取り組みに一体となって着手してまいります。構成組織・地域協議会におかれましても、自らの最優先課題との認識を共有頂き、持場・立場で努力し合うことを本委員会で誓い合いたいと存じます。

  次に、「地域に根ざした顔の見える運動の推進」に向けた取り組みです。 

  連合本部の新地協方針に基づき、この1年間は、数度の地協代表者会議における意思統一をふまえ、各地協が主体となり対応を進めてきました。その結果、すでに新地協として認定を受けていた5地協(神戸・姫路・北阪神・東播・但馬)に加え、数地協で専従役員配置に目途がたち、要件を満たすこととなります。残された地協については引き続き体制整備、とりわけ専従役員配置と独自事務所での運営に向けご努力を頂くとともに、各構成組織におかれましても、専従役員派遣やOB役員の紹介など、可能な限りの協力をご要請申し上げるものです。

  そのうえで、各地協専従体制のもと組織拡大の取り組みをはじめ、地域の実情に応じた運動強化をめざすこととします。

  地協運動の強化に関連して、労働福祉団体との連携の在り方について、若干付言させて頂きます。

  2012年は国連が定めた「国際協同組合年」です。その背景には、グローバル経済の進展と市場原理主義のもとで世界的に格差と貧困が拡大している中、協同組合がその解消に寄与していることを評価されたことが挙げられます。

  わが国には、労働金庫や全労済、労福協や生活協同組合などが存在し、それぞれの立場で幅広く「共助」を担われています。とりわけ、労働金庫と全労済は、労働運動を基盤とする協同組合組織であり、その設立と運営には労働組合が深く関わってきました。

  しかし、時代が変わり組合役員・団体役員の世代交代が進むなか、「事業者」と「お客様」の関係に陥っているのではないかとの指摘もあります。したがって、今後、労働者自主福祉事業を強化・充実させていくことは、労働運動自らの役割でもあるとの原点に立ち返り、これまで以上に連携を深化させて、「地域に根ざした顔の見える運動」の実践にも繋げていかなくてはなりません。

  国際協同組合年という単年度のイベントに終わらさせず、本年を契機に、私たちがめざす「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた取り組みの一環として、県域および各地域における新たな連携方策を模索してまいりたいと考えています。各団体および地域協議会の前向きな対応をお願いする次第です。

  第三の課題は、政治の現状に対する認識と国政選挙に臨む決意についてでございます。

  2009年9月の政権交代から3年が経過しました。政権交代に大いなる期待を抱いた分、失望感が大きいことも事実です。しかし、政治とは政治家だけが行なうものではなく、有権者も含めたシステムです。憲政史上初めての政権交代、民主党政権発足以降の「課題」も「成果」も“政権交代がある政治”を定着させ、議会制民主主義を成熟させていくプロセスの途上に他なりません。その意味で、私たち一人ひとりの有権者の意識と行動もまた問われています。現実の政治や生活に向き合うなかで、一つ一つ解決していく意外にはありません。期待と落胆を繰り返していても何も生み出せませんし、現状に失望してヒーローの登場を期待しても幻想にすぎず、決して解決できる訳ではありません。民主主義のプロセスには、相応の時間と手間を要するものだと受け止めることも必要なのではないでしょうか。

  最近は、既成政党への幻滅を背景に「政敵」を作り上げ、実現困難な政策を歯切れの良い言い方で有権者の期待を集めている新しい政党や政治集団も生まれています。しかし、私たち働く者や生活者に主軸を置き、政策を共有し得るのは、やはり今も「民主党」です。国家公務員制度改革関連4法案の審議結果については、極めて残念ですが、労働関連法案をはじめ、自公政権時代には難しかったことが、民主党政権によって着実に前進してきた政策も多々あります。

  民主党政権には、この3年間、何が実現できて何が不足していたのか真摯に総括し、再度、政策=マニフェストとして磨き込んでいく丁寧な作業が必要です。そして、その営みや考え方を、国会議員・地方議員が一体となって支援団体や有権者に地道に訴えていくという大切な地域活動の強化も、与党議員としての責任であり、国民からの信頼を取り戻す唯一の道でもあることを、口幅ったい言い方で恐縮ですが、民主党の皆さん方には指摘しておきたいと考えるところです。

  ただ、こうした与党としての責任に背を向けて、勢いのあるグループにすり寄ろうとする議員も存在します。当然のこととして、そうした行動は決して国民の信頼を得られないであろうことも付言しておきたいと思います。

  本日の地方委員会は、すでに連合兵庫として推薦決定をしています来年夏の参議院選挙予定候補「辻泰弘」参議院議員と併せ、比例区から立候補予定の9名の連合組織内候補を確認し合い、連合兵庫全体で「闘う意思」を結集する場にしなくてはなりません。

  来るべき総選挙も含めた国政選挙等の基本方針をのちほど、議案提起させて頂きますが、本日は近々の解散・総選挙もありうる衆議院選挙への対応、さらに来夏の参院選挙での兵庫県選挙区の辻泰弘:参議院議員をはじめ比例区予定候補の連合組織内の9名、この必勝に向けての諸準備、また参院選と同日投票が想定される兵庫県知事選挙、くわえて10月におこなわれます神戸市長選挙の諸準備についてご討議いただくことになっていますが、連合兵庫にとって、向こう1年間は、今後の政策実現力の維持・向上をはじめとした運動前進を期すうえでの礎ともなる、極めて重大な政治決戦の年となることを全体で認識し合い、さまざまな困難、そして厳しい逆風下での戦いが想定されますが、兵庫県下それぞれの地域・職場において、最大限の力を総結集して戦い抜こうではありませんか。

  すべての構成組織・地域協議会、すべての組合員の皆さん、そして高退連の諸先輩の皆さん方の格段のご協力・ご支援を切にご要請申し上げるものでございます。

  最後になりますが、この1年間、連合兵庫に寄せられました、皆様方のご協力に改めて感謝申し上げつつ、極めて重要な正念場となる向こう1年間、これまで以上のご協力・ご支援をお願い申し上げまして、森本会長に代わってのご挨拶とさせて頂きます。

  ご清聴ありがとうございました。

連合兵庫40万組織拡大アクションプログラム(案)

情熱・行動・努力!組織拡大は労働組合の生命線である=
連合兵庫は第8回定期大会で組織拡大を最重要課題と位置付け、組織拡大アクションプログラム(第1次=2004年、第2次=2006年、第3次=2009年)を作成し、各構成組織、各地域協議会と連携し、取り組みの強化を図ってきた。また、1998年に組織拡大の実践行動隊として、「組織拡大プロジェクトチーム」を編成し、今日も未組織企業、未加盟組合を中心にオルグ行動を実施しているが、多大な成果を得るまでには至らず兵庫県の組織率は21.0%と低迷しているのが現状である。

  連合本部は新たな時代に対応した組織化方針とその具体化にむけた新たな組織化手法として「連合1000万実現プラン」を策定した。連合兵庫もこのプランに基づき、新たな組織拡大戦略を実行し、「連合兵庫40万組織拡大の実現」に向けて取り組むが、目標を達成していくには連合兵庫、各構成組織、地域協議会が三位一体となって、取り組まねば到底達成は困難である。全組織が一丸となり取り組み、連合がめざす「働くことを軸とする安心社会」を実現するため情熱と行動・努力で実行していく。

.組織拡大が進まなかった背景と要因

1.厳しさを増す社会経済環境の中では……

  • デフレ経済の中で、正社員の採用減や非正規への置き換えが続発、連合は、2007年に非正規労働センターを立ち上げ、パートタイマー等の組織化に取り組み133万人(内パート42万人)の組織化を果たしたが、既存組合員171万人が減少し、結果的に総数で38万人減少となった。
  • 景気の長期低迷化、グローバル化の進展により産業の空洞化、デフレ経済による労働市場の崩壊、など労働現場は厳しい社会圧力を受け、企業の分社化や再編、海外移転、閉鎖などが多発し正社員が激減した。
  • 組織化の対応も遅れた。定年退職者への継続加盟への取り組み不足、若年層の離職率の高まり、組合への無関心層の増加、多様な雇用形態に対する組織化への対応不足、こうした中、現状の組織規模の維持さえも厳しい状況にあり、経験豊富な組織拡大担当者不足も大きな要因となっている。

2.社会的影響力低下への懸念として……

  • 組織拡大の目標の一つに労働組合が掲げる社会像の実現にある。そのために、    産業政策.経営対策活動など実現していくには、高い組織率の労働組合のバックアップと力が不可欠である。規模、雇用形態、産業の違いに関係するものではない。
  • 日本社会の労働人口減少は、組織化対象の減少と言う意味で労働組合にとって大きな課題となる。
  • 組織の減少による社会的影響力の低下は、労働運動の弱体化に直結し早い対応と、それを支える人材育成が重要である。

3.時代に対応した新たな組織化方針の必要性は……

  • 組織の減少によって組織の存在意義が低下しないためにも、連合本部、構成組織、地方連合会が一丸となって「確かな成果」を全員で共有して行くことが重要である。そのために、これまでの組織拡大行動の全てを総点検し時代にマッチしたものか、実効性が高く共感出来きるものかという観点から実効性の高いものから提起して行く。
  • 1000万連合は、ゴールではなく将来の一里塚であり「働くことを軸とする安心社会」を樹立しなければならない。

.実現への新たな行動枠組み

1.取り巻く環境

(1)増加する個別労使紛争の中、問われる労働組合の役割……

  • 日本社会を取り巻く環境は大変厳しい状況下にあり、労働現場でのトラブルが多く労働者の暮らしは厳しい状況下である。こうした要因は労働組合の数が少なくトラブルを未然に防ぐには労働組合の役割は大きいものである。
  • 労働組合の無いところに労働組合を作ると言う事は、労働運動の原点であり、労働組合を作り労働現場で発成する数々の問題を自らが主体性の中で解決し厳しい現況を打ち破り反転攻勢に出る事が労働組合の社会的責任でもある。

(2)労働運動の方向性にも変化の兆し……

  • 連合結成直後にバブル経済が崩壊、労働組合は企業や株主に偏る配分の構造に対して是正や安心安定した暮らしの実現に向けた運動を展開してきた。しかし実効性、対抗策は打ち出せず、これまでの日本型社会が築き上げて来た多くの価値観は時代遅れの感覚が広まった。
  • 現在、新自由主義的価値観の崩壊により、労働組合の存在意義が改めて見直される時代になった。特に東日本大震災を契機に「絆」「つながり」と言った価値観が強く認識されてきた。これらの言葉、新しい共同体と言う意識を職場や地域社会にどう定着させていくかと言う事が労働運動の今日的課題となっている。

(3)新たな「枠組み」と「役割分担」による組織拡大行動……

  • これまで組織拡大行動は、連合本部、構成組織、地方連合会が個々の枠組みの中で対応してきた。
    しかし現場で起きている諸問題を、より着実に、よりスピーディに解決して行くには、これまでの枠にこだわることなく、各々の主体性を尊重し、新たな枠組み、新たな役割分担で、新しい組織拡大行動を展開していく必要がある。
     そのためには、連合本部、構成組織、地方連合会の三者が更に相互連携を強め、共同責任を持つという一体的な運営を推進して行かなければならない。

(4)日本の労働界に与えられたラストチャンス……

  • 1000万連合実現の道筋は、労働運動の再構築そのものである。
    全ての働く仲間の安心、安全、安定した暮らしの実現に向け連合本部、構成組織、地方連合会は、これまでの手法や体制、規約など、あらゆるものを再検討し、今後の社会環境に適応したものに変えて行かなければならない。
  • これまでの教訓をしっかりと受け止め、日本の労働界に与えられたラストチャンスという認識に立ち、今こそ全組織一丸となって組織拡大行動に向け強い意識でとりくまなければならない。

2.連合、構成組織、地方連合会の役割分担の見直しに向けて

(1)見直しの必要性……

  • 連合結成以来、組織拡大の主体(中心的役割)は、構成組織、加盟単組が担うことを基本として来た。しかし、近年の労働環境の変化は、構成組織の労務構成や雇用形態の多様化といった状況を生み出す要因となり、組合員構成にも大きな変化を与えるようになってきた。これまでの正社員組合運営から、非正規社員、再雇用者、派遣、契約社員を含めた多面的組織運営が必要となっている。
  • 加えて、バブル経済崩壊以降、新規正社員採用の抑制政策、成果主義的人事政策、等により組合関係でも組合役員の発屈、育成が困難となり組合役員なり手不足で組織拡大の中心的役割を担う役員の慢性的不足状況に至った。
  • こうした社会環境の変化と構成組織の事情を踏まえ、より確かで効果的な組織拡大を行うために第二次財政確立検討委員会で確認され「組織拡大の主体は構成組織」「連合はその環境整備」という役割を全面に見直す必要がある。

(2)新たな役割分担……

  • 先にも述べたように、1000万連合を達成するには三者一体で取り組まねばならない。具体的には、相互連携で組織化効果と実効性が高いと判断した場合は、新たな組織化行動、横断的組織化行動の枠組みを活用し実効性を高める新たな枠組みを設定する。
  • これまでのように、自組織が抱え込むだけでなく連合のスケールメリットを活かし相互連携によって結実し、そのための新たな役割分担と新たな仕組みづくり、共有化していく。

① 行動基準

◯ 連合本部、構成組織、地方連合会が一体的、集中的に組織化行動に取り組む。

◯ スローガン… すべての職場・地域に労働組合を!

                    「正しい認識・確かな判断・一気の行動」

.連合1000万実現プランに基づく、連合兵庫40万組織拡大の取り組み

1.組織拡大対象企業の把握・設定など「横断的組織化」の推進

(1)連合兵庫、各構成組織の連携について

① 組織拡大対象リストの作成

  組織拡大プロジェクトでの対象リストを新たに拡大するため、各構成組織に対象リストの報告を依頼すると共に、現在連合兵庫で作成中の兵庫県下1万企業のリストを基に、従業員規模、業種、関連企業、地域等に精査し、過去の対象リスト企業も視野に入れて、新たなターゲット(対象リスト)を設定する。

  ターゲット企業については2013年6月末までにプロジェクト会議で点検 し、組織拡大特別委員会で確認し、連合兵庫機関会議が決定する。

  その後、連合兵庫ホームページ(NEO)に掲載する。(IDパスワードは構成組織ごとに配付済)。

② 組織拡大対象リストに基づく組織化行動について

  決定されたリストに基づき、可能性の高い対象企業・対象労組を組織拡大プロジェクト会議、組織拡大特別委員会で選出し、組織拡大プロジェクト委員をメインに関連組織と連携し行動する。

2.拡大目標の設定とロードマップの策定について

(1)拡大目標数の設定について

① 各構成組織と個別に情報交換し、2020年までの目標数を設定するため、拡大目標設定会議を開催する。(構成組織を対象に2013年1月、3月、5月に開催)

  組織拡大特別委員会で確認し連合兵庫機関会議で承認の上、2013年6月までに連合本部へ報告する。

(2)ロードマップの策定について

① 2013年9月までに2020年までの組織拡大目標を実現するためのロードマップを組織拡大プロジェクト、組織拡大特別員会で策定し、連合兵庫機関会議で決定する。 

3.日常的な構成組織との連携・連動による組合結成について

① 労働相談・電話対応のからの連動について

  「なんでも労働相談」から組合結成に至るケースも少なくもなく、日常の労働相談件数も多くなっている。現在3名のアドバイザーを中心に対応しているが、年中無休の労働相談の開設も視野に入れながら、当面、集中的な労働相談(連合一斉労働相談や組織拡大集中行動等)には各構成組織、各地域協議会も相談員として要請する。

② 労働相談からの組合結成について

  労働相談からの組合結成は、従来から関係組織と連携して組織化をしているが、今後も更に連携を密にして取り組む。

③ 連合兵庫地協ユニオン、JTUC(個人加盟)ユニオンからの連動について

  連合兵庫ユニオンは12地協ユニオンと個人加盟のJTUCユニオンで構成しており、現在23組織と個人加盟1名で1,022名の組合員である。2005年に結成して7年が経過しているが、2020年までに構成組織に移行できるよう関係組織と連携していく。 

  また、各地協ユニオン役員構成は地域協議会で対応しているが、JTUCユニオンの役員については組織拡大プロジェクト委員をメインに構成する。

④ 組合結成準備会からの連動と構成組織への移行について

  労働相談や企業訪問オルグ等で労働組合結成に至る場合は、従来から関係組織と連携して組織化を進めており、今後も連携を密にして取り組む。

  また、連合兵庫で組合を結成し、すぐに構成組織に加盟できない場合は、連合兵庫ユニオンの基に置き、当該組織が自立した活動が可能となるよう、最長2年間を目途に指導を図る。

4.未組織企業、(関連企業・連結決算企業含む)、未加盟組合対策について

① 未組織企業対策について

○ 構成組織の取り組み

  構成組織は中央組織の指示に基づき、加盟単組の「企業内未組織労働者の100%組織化」に向けて、2013年9月までに状況を把握し、連合兵庫、中央組織に報告する。また、子会社、関連会社、取引先企業などのリストを作成し、組織化に向けて取り組む。(連合兵庫未組織企業リストも参考)

○ 組織拡大プロジェクト

  従来の組織拡大オルグ行動を強化、拡大して県下の未組織企業リストに基づき、オルグ訪問活動を実施する。

② 未加盟組合対策について

○ 地域協議会の取り組み

  未加盟組合については、各地域協議会、組織拡大プロジェクト、連合兵庫担当地域者と連携して訪問活動を実施する。

  実施月は3月~4月、6月~7月の設定し年間最低2回は訪問し、5月と9月に合同会議で報告する。

5.各構成組織、組織拡大プロジェクト、地域協議会の連携した会議の開催について

  現在、組織拡大プロジェクト会議は年4回、組織拡大特別委員会は年2回開催しているが、全体的な会議を年1回(12月執行委員会終了後)に開催する。(状況報告と来年度取り組み)

  また、地協組織拡大強化専門会議(仮称)を設置し、地域の状況把握と未加盟組合対策の調整と取り組みの強化をはかる。(会議の開催は2月、5月、9月)

6.組織拡大に向けて人材教育、オルガナイザーの育成について

  毎年6月に開催している組織拡大オルグ実務者研修会(1泊2日)と11月に開催している組織拡大実務者研修会の内容を実践教育として位置づけ、オルガナイザーの育成強化を進める。

各地域協議会においても、組織拡大研修会を検討する。

7.兵庫労使相談センターとの連携について

  1996年に兵庫県経営者協会、連合兵庫の経験豊富な相談員で開設されている兵庫労使相談センターも多くの労働相談が寄せられており、センターの紹介で労働組合を結成したケースもある。労使相談センターとの連携を図るため、組織化相談窓口を設置し対応する。

 

【 総 論 】

復興・再生に全力を尽くし、「働くことを軸とする安心社会」につなげよう

連合兵庫は、昨年10月27日に開催した第13回定期大会決定の「2012~2013年度運動方針」に基づき、構成組織ならびに各地域協議会との連携のもと積極的な活動を展開してきた。今次第27回地方委員会では、後半年度となる2013年度活動計画を提案する。

この「2013年度活動計画」は、既定の運動方針に基づく1年間の活動実績等をふまえ、補強および新たな取り組み等を追加提起するものであり、既定方針を補完する位置づけとなる。
したがって、2012~2013年度運動方針通りの取り組み課題は掲載していないが、2年スパンの運動サイクルのなかで、引き続き諸取り組みを推進する。

<私たちを取り巻く情勢と課題>

  1.東日本大震災からの復興・再生

東日本大震災から1年半を経過し、復興に向けた様々な取り組みが推進されているが、被災地の復興・再生は道半ばである。そして、いまだ避難生活を余儀なくされている被災者は十数万人にのぼる。復興需要もあるが、第一次産業を含む産業・生業の再建、雇用の確保・創出は不十分であり、福島原発事故の収束、被災者救援も遅れている。復興計画・予算の執行と資源・エネルギー政策の見直しを進め、人々の生活の安心に繋げていくことが求められている。

2.経済・雇用情勢をめぐる特徴

(1)2011年秋のギリシャ債務危機は、今年に入ってイタリア、スペインへと波及し、債務危機はEU諸国全体の問題へと広がっている。先進国全体に広がる経済の低迷と信用不安、財政悪化の背景には、リーマンショック以降の財政支出の増大と新興国の経済拡大に伴う競争激化、金融資本主義の影響などがある。G20での論議も重ねられているが、世界経済は先行き不透明な状況から脱することができていない。

(2)2011年9月に発足した野田政権は「分厚い中間層の復活」を掲げ、新成長戦略(2010年策定)を改訂し「日本再生戦略」を策定した(2012年7月)。2020年にむけて大震災からの復興と日本の再生、デフレからの脱却、グリーン/ライフ成長戦略、雇用の創出、社会・経済を支える人材育成、などを掲げている。

  とりわけ、デフレ脱却、行き過ぎた円高の是正、雇用創出など、待ったなしの喫緊の課題への取り組みをはじめ、予算の重点化も含め大胆な政策実行が求められている。 

(3)内閣府は、月例経済報告(9月)において「景気は、世界景気の減速等を背景として、回復の動きに足踏みがみられる。」としたうえで、その先行きについては、当面は弱めの動きも見込まれるものの、復興需要が引き続き発現するなかで、海外経済の状況が改善するにつれ、再び景気回復へ向かうことが期待される。――としている。

(4)兵庫県においても、「持ち直しの中、一部にやや弱い動きがみられる」としつつも、雇用面では、「厳しい状況にあるが、有効求人倍率は持ち直しの動き(2010年度0.53倍、2011年度0.61倍、2012年8月0.69倍)がみられる」としている。

3.政治の動向

(1)2010年参議院選挙以降の「ねじれ国会」で“決まらない政治”が続いていたが、三党合意により「社会保障と税の一体改革法案」が成立した。一方で、既成政党への批判の高まりと無党派層の増大や、民主党から多くの離党者が発生し与党体制が弱体化するなど、政治の不安定化も進行している。また、大阪や愛知などでは新たな政治勢力が、既存の政党に対する国民の信頼が揺らいでいるのに乗じて国民の期待を集めている面があり、その動向を注視する必要がある。
 政権交代から3年、こうした政治の現状を改革し、本来の役割を発揮できる政治へと向かう努力が、民主党政権には求められている。

(2)一方で、子ども・子育て施策の拡充、雇用のセーフティネットの拡大、労働法制の規制強化、最低賃金の大幅引き上げ、国・地方の行財政改革など、労働者の視点にたった政策が少なからず実現してきたことも事実であり、民主党を主軸とする政権であるからこそ、そうした政策実現が図られたものといえる。日本の再生に向けた政策推進の継続が望まれる。

(3)解散・総選挙をめぐる情勢は、与野党3党首合意により風雲急を告げる状況となっていたが、民主党代表選挙における野田代表の再選、自民党・安倍新総裁の選出を経て、今秋の臨時国会をめぐる与野党の攻防如何という緊迫した情勢にある。

  連合が支援する民主党にとって、極めて厳しい逆風下での戦いが確実視されるなか、向こう1年以内には、① 総選挙、② 明年7月の参議院選挙とともに同日選挙が想定される兵庫県知事選挙、そして③ 来秋の神戸市長選挙など、連合兵庫にとって極めて重大な政治決戦の年度となる。

<「運動の重点」に対する補強>

  2012~2013年度運動方針では、向こう2年間の「運動の重点」の考え方を以下の4点とした。後半年度の取り組みを進めるにあたり、以下の通り補強する。

1.東日本大震災からの復興・再生に向けた支援の取り組みを継続し、兵庫県への避難者支援等も含め、阪神・淡路大震災を経験したローカルセンターとしての役割発揮をめざす。

補強 ⇒ 震災復興支援等の取り組みに加え、その後頻発している自然災害等に対する支援についても、引き続き積極的な対応を行なう。

2.すべての働く者の連帯をめざした社会的な運動を推進する。そのため、「40万連合兵庫」の実現をめざす組織化推進に最優先で取り組むとともに、非正規労働者や中小零細企業で働く労働者への支援・連携を強化し、労働運動・労働組合の社会的インフラとしての役割を積極的に果たす。

補強 ⇒ 「40万連合兵庫」の実現に向けた着実な取り組みを推進するため、構成組織および地域協議会そして連合兵庫の役割・機能を再確認し合うとともに、労働運動の原点である「組織化・組織拡大」の具体的行動と成果なくして活性化はあり得ないとの認識にたって積極的な取り組みを進める。

3.「地域に根ざした顔の見える運動」をさらに強力に推進するため、これまで以上に地域協議会との連携強化を図る。そのうえで、それぞれの役割分担に基づき、さまざまなステークホルダーとの対話を積極的に展開し、「働くことを軸とする安心社会」という我々がめざす社会像を共有し、その実現を目指す取り組みを協働してすすめる。

補強 ⇒ 新地協方針に基づく地域協議会の体制整備と運動強化に引き続き取り組むとともに、連合がめざす社会像「働くことを軸とする安心社会」という考え方が社会全体で共有されるよう、幅広い訴えかけを推進する。あわせて、2012年「国際協同組合年」を単年度のイベントに終わらせず、労働組合と労働者自主福祉事業(労福協・労金・全労済など)や生協などを含めた共同組合が、一層連携を深める契機として、新たな協働のあり方を模索する。

4.ローカルセンターとしての政策・制度要求実現をめざす取り組みを強化する。そのため、① 連合兵庫政策フォーラム活動の質的強化、② 行政および経営者団体等への政策提言活動の強化、③ 民主党兵庫県連をはじめ首長や各議会会派等との政策協議・意見交換の充実――をめざす。

補強 ⇒ 政策・制度要求の実現力をさらに高めるため、来るべき政治決戦に対し組織の総力で取り組む。

【 各 論 】

各論その1

40万連合兵庫実現に向けた組織強化・拡大、連帯活動の推進による社会的影響力ある労働運動の展開

【すべての職場に労働組合を】

1.1000連合実現に向けた「40万連合兵庫」組織拡大の取り組み

(1)連合本部は、「1000万連合」実現に向けた当面の具体策(2012年10月~2013年9月)への対応として、以下の取り組み課題を確認した。

① 推進PT、組織委員会を中心に、2013年9月までの対応策として、1000万連合実現に向けた初期対応3項目(ⅰ.意識改革、ⅱ.対応部署の新設、ⅲ.組織化ターゲットの共有化)の取り組みを通じ、構成組織、地方連合会への理解・浸透の強化・徹底を図り、実効力ある具体的組織拡大行動を積極的に展開する。

② その基本要件として、連合本部・構成組織・地方連合会・地方構成組織が相互連携を図り、組織拡大に関する情報の共有化に取り組む。その上で、2015年9月までの「組織拡大目標数」を設定する。一方、2020年までの継続した取り組み課題として、企業内未組織労働者、子会社・関連会社を加え、関連する産業の未組織企業など、各構成組織が2020年までの拡大対象として想定する「組織拡大対象数(いずれも労働者数)」を把握し、共有化を図る。

③ 「1000万連合実現中央集会」については、連合全体の組織拡大への意思統一と機運向上を目的にその具体化に早急に取り組む。

(2)連合兵庫は、前(1)項の本部方針をふまえ、組織拡大特別委員会およびプロジェクト会議における論議を経て確認された「アクションプログラム(特別報告の内容)」に基づく当面の取り組みを積極的に推進する。

2.「40万連合兵庫」実現に向け、引き続き、連合本部との連携で「地方連合会未登録問題」に対応するとともに、パート等非正規組合員の連合兵庫会費の扱いについて、財政対策特別委員会における検討・論議を促進し、次期会計年度(2013年9月~2014年8月)内の、できるだけ早い時期から実施できるよう取り組みを進める。

【地域に根ざした顔の見える労働運動の展開】

3.新地協方針に基づく地域協議会の体制整備と運動強化に引き続き努めるとともに、以下の考え方で当面の取り組みをすすめる。

(1)地域ブロック連絡会議(神戸、阪神、東播磨、西播磨、但馬・丹波)の機能を整理・強化し、エリア内の共通活動と課題を共有化しつつ、地協活動の更なる充実に努め、新地協としての組織体制と活動の強化を行う。

(2)地域ブロック連絡会議は、新たに新設する運営要綱に基づき活動をすすめ、新地協への移行完了を含めた地協再編が完了した段階で運営要綱の見直しを行う。 

(3)あわせて、行政区や選挙区の変更、地域諸課題や地協交付金のあり方等については、現行の地協区分の見直し是非を含め、三役会議及び地協代表者会議で協議し整理する。その協議期間は3年間(2015年定期大会まで)とする。 

4.前年度、連合結成以来初となる「組合員調査」が実施され、中央と地方の一体的運動強化に向けた基礎的資料収集が図られたが、引き続き、構成組織間の公平性、一体的運動の推進、本部登録人員と地方登録人員との差異解消に向け、連合本部が取り組む「組合員調査」の継続実施に協力する。

5.地域で働き、暮らす勤労者や市民を地域でサポートするため、2012年「国際協同組合年」を契機に、労働福祉団体(労福協・労金・全労済など)との連携をさらに深化させるとともに、志を同じくする様々な組織・団体との新たな連携を模索し、労働組合としての社会的役割の発揮をめざす。

6.連合兵庫としての、広報・情報発信・街宣活動等の現状を検証するとともに、今後の在り方についての検討を促進し、次期定期大会での方針化をめざす。特に、紙ベースの情報伝達と、インターネット等を活用した情報伝達の整理を行いながら、タイムリーで効果的に伝えるように取り組みを進める。

  また、組織的統一的なマスコミ対応(対策)の在り方について検討に着手する。

7.本年4月に発足した「一般財団法人ひょうご憩の宿」は、勤労者の福利厚生施設として地域等の要望から設立されてきた経緯をふまえ、新たな枠組みでスタートしたものであり、その趣旨等をふまえ、県下5施設(新たんば荘・津名ハイツ・赤穂ハイツ・いこいの村はりま・六甲保養荘)の利用促進への協力など、出捐団体としての役割を積極的に果たす。

【震災復興支援等の取り組み】

8.東日本大震災復興支援に継続して取り組むとともに、頻発する自然災害発生時においても、大震災を経験したローカルセンターとして役割発揮をめざす。

9.災害支援に際しての義援金・見舞金等の扱いについて、新たな「基金化」創設も視野に入れ、規約・規定検討特別委員会を軸に具体的検討を進める。

各論その2

人材育成と労働教育の強化

1.新たな運動の柱と位置づけた「人材育成と労働教育の強化」の取り組みについては、新たに立ち上げた人材育成検討委員会における論議をふまえ、構成組織に対する「教育・研修の実施状況についての調査」を実施してきた。

2.この調査結果の分析等をふまえ、連合兵庫が実施する従前からの課題別・階層別・組織別の研修は整理しつつ継続することとし、以下の取り組み課題について具体化をはかる。

(1)働く価値と働く者の権利についての定例的・継続的な研修体制の確立
急増する労働相談と労働者の権利の認知度の低さは相関関係にあり、単なる対処療法、予防策では解消しえない。そのため、より多くの組合員を対象とした現行法の内容と意味、現実事象の判断と分析を中心に、6~7月期に各地域協議会と連携し「定例ユニオン講座」を開催する。
当面、参加対象は、支部・分会等の新任役員や新入組合員とする。具体的には、人材育成検討委員会と新たに整備する研究機関との連携のなかで、開催の方法、内容、講師等について企画し実施する。

(2)連合兵庫シンクタンク機能強化に向けた兵庫県総合生活研究センターの再構築
経済のグローバル化や情報技術の高度化、少子高齢化による労働力人口減少、正規・非正規の二極化といった様々な課題や雇用環境の変化に適切に対応していくためには、労働者側からの新たな政策提言を継続的に行うことが重要である。
そのため、連合兵庫としてのシンクタンク機能の強化と、労働組合の政策提言能力等の質的向上を図るために「総合生活研究センター」の再構築と新たな運営体制の確立をめざす。

各論その3

安心社会の構築に向けた政策・制度の取り組みと労働条件の社会的横断化の促進、ディーセント・ワークの実現

【社会的セーフティネット強化による安心社会の実現】
1.「社会保障と税の一体改革」の一層の推進・実施と、社会保障制度の基盤・機能の強化、あらゆる人を排除しない社会(インクルーシブ社会)の実現に向けた取り組みを行う。

(1)非正規労働者への社会保険の適用拡大に取り組む。

(2)安心と信頼の年金制度の構築に向け取り組む。

(3)負担可能な費用で必要とする良質な医療が受けられるための、持続可能な医療保険制度・高齢者医療制度の構築に向け取り組む。

(4)低所得者・生活困窮者に対する就労や居住、医療などの支援の強化と生活保護制度の再構築に向け、世論喚起等への対応に取り組む。

【教育における格差是正と機会均等の実現、労働教育・社会教育の推進】
2.教育の場から労働の場への円滑な接続を実現するため、勤労観・職業観を養う「労働教育」、自立した社会人としての基本的な知識・意識などの社会性を養う「市民(シチズンシップ)教育」について、若者就労支援や生涯教育の充実の観点から推進をはかる。

3.政府の雇用戦略対話において合意された「若者雇用戦略(2012.6)」に基づき、今後、都道府県単位に設置される「地域キャリア教育支援協議会(仮称)」へ、教育創造県民会議とも連携しつつ、積極的に参画する。

4.兵庫の労使間(連合兵庫・兵庫県経営者協会)の共同研究テーマと位置付けている「若年雇用問題」について、今春の「中間まとめ」をふまえ、海外労働事情調査(米国)の視察まとめ等を含めた「最終まとめ」に取り組む。そのうえで、行政等の審議会等の場に政策提言ができるよう対応を進める。

【産業政策と連動した雇用創出、ワーク・ライフ・バランスの実現】
5.新たな産業の育成と雇用創出につなげるため、産業政策と連動した雇用政策と活力ある中小企業の育成に向け運動を展開する。具体的には、「ひょうご経済・雇用活性化プログラム(平成23~25年度)」のフォローアップ会議をはじめ、兵庫県・労働局等の審議会等において、引き続き実効性ある施策推進を求めていく。

6.「ひょうご仕事と生活センター」の運営に対し、連合兵庫・構成組織・地域協議会がそれぞれの立場で積極的に参画し、地域や職場でのワーク・ライフ・バランス実現に向けた機運向上と好事例の水平展開に努める。

【取引の適正化と公契約運動の推進】
7.公契約の下で働く勤労者の公正労働基準の確立、ひいては日本における取引慣行の改善に向けた「公契約条例の制定」を促進するため、本年7月開催の「連合兵庫公契約に関するシンポジウム」におけるキックオフ宣言をふまえ、連合兵庫・各地域協議会および推薦議員が連携した具体的対応を強化する。

【ディーセント・ワーク実現に向けたワークルールの整備】
8.改正労働者派遣法の周知徹底をはかるとともに、明年10月から労働政策審議会での審議が予定される、① 登録型派遣、② 製造業務派遣、③ 特定労働者派遣事業、④ 専門26業務の見直しに向けた本部検討の動向を注視する。

9.有期労働契約に関わる改正労働契約法の施行にあたり、労働局に対し改正法の趣旨・内容の周知徹底を求めるとともに、有期契約労働者の雇用の安定と処遇改善に向けて取り組む。

10.希望者全員が65歳まで働き続けられるよう、改正高年齢者雇用安定法の周知と関連政策の構築、労使協議の強化などに取り組む。

各論その4
男女平等社会の実現に向けた平等参画の強化

【あらゆる分野における男女平等参画の推進】
1.連合「第3次男女平等参画推進計画」の積極推進と「ポスト第3次男女平等参画推進計画」(仮称)の策定に取り組むとする連合本部方針をふまえ、当面、以下の考え方で取り組みを進める。

(1)引き続き、三つの統一目標実現に取り組む

行動目標:① 運動方針への男女平等参画推進を明記

数値目標:② 女性役員ゼロ組織をなくす

                ③ 女性組合員比率に応じた女性役員の配置

(2)連合本部の「ポスト第3次男女平等参画推進計画」(仮称)の策定に向けた動向をふまえ、連合兵庫第2次男女平等参画推進計画(2012年10月までの計画)を一年間延長し、引き続き2013年10月まで取り組むこととする。

【女性の就業継続、パートタイム労働者の総合的労働条件改善に向けた取り組み強化】
2.第1子出生を機に、いまだ64%の女性が離退職していることから、妊娠・出産、育児など、女性の就業継続を可能とする職場環境づくり、待機児童対策等の環境整備など、男女の仕事と育児の両立支援、仕事と介護の両立支援等の拡充に取り組む。
 あわせて、兵庫県における厳しい女性就労率の現状をふまえ、前述の取り組みと連動した分析・検討および施策展開を求めていく。

3.改正育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の職場への定着、適用対象の拡充など、周知徹底と労働協約化に取り組む。

各論その5

政策実現に向けた政治活動の強化

【連合本部の基本スタンス】
1.連合の「期待する政治」実現に向け、民主党政権および政権与党との協力関係を重視し、積極的な取り組みを行う。

2.連合の政策・制度課題の実現に向けた政党との関係については、これまで基軸としてきた民主党をはじめ政策協定を締結した政党を中心に政策協議の強化をはかる。なお、政策協議は、与野党問わず必要に応じて行う。

3.連合の政治方針の見直しに向けた論議を引き続き行う。政治方針の見直し(案)については、連合の第13回定期大会に提案する。

【連合兵庫政治センターの機能強化】
4.「連合兵庫組織内議員懇談会(仮称)」設置の検討状況をふまえ具体化を進める。 

【選挙活動の推進】
5.国政選挙に向けた対応

(1)衆議院議員は2013年8月には任期満了となるため、それまでに実施される第46回衆議院選挙においては、連合本部の基本方針と選挙対応方針に基づき、民主党を主軸として、連合兵庫の推薦基準に合致する選挙区の候補者を推薦し、当選に向けて全力で支援する。

  なお、候補者については、民主党公認であることをもってすべて推薦するものではなく、民主党の現職国会議員および公認候補予定者の活動状況等の検証をもとに連合兵庫が主体的に判断する。

(2)第23回参議院選挙(2013年7月実施予定)における兵庫県選挙区の推薦候補者を確認し、来夏選挙に向け具体的準備に万全を期すとともに、再選に向けて全力で支援する。具体的には、連合組織内比例代表選挙との相乗効果を最大限意識して、連合兵庫・構成組織・地域協議会の総力で取り組む体制を構築する。

 6.兵庫県知事選挙・神戸市長選挙に向けた対応
兵庫県知事選挙(2013年7月実施予定)ならびに神戸市長選挙(2013年10月実施予定)に向けては、引き続き、その動向に注視するとともに、具体的な候補者推薦にあたっては、政策協定の締結を前提に対応を進める。

【地方選挙の取り組み】
7.地方・地域における連合政策の実現をめざし、連合の政策を理解する勢力拡大を視野に入れつつ地方選挙に取り組む。

8.民主党と連携して取り組むことを基本に、構成組織は積極的に組織内候補の擁立をめざすとともに、民主党の地域での基盤強化を意識した対応に努める。また、当選後は連合推薦(支持)議員の統一会派の結成に努める。