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2011年度兵庫県に対する政策・制度要請を行う

  • 場所:兵庫県庁
  • 時間:2011年9月20日

「働くことを軸とする安心社会」実現に向けて 


◆9月20日(火)、兵庫県庁において、連合兵庫として兵庫県に対し 『2011年度の政策・制度要請』をおこないました。

◆連合兵庫から森本:会長、住山:政策検討特別委員長(副会長)、辻:事務局長、土肥:事務局長代理、森脇:副事務局長、藤 井:総務担当部長が出席、経済・雇用・労働・中小企業対策・福祉社会保障などに関する『要請書』を提出しました。

◆兵庫県からは、井戸:知事を先頭に、田所:産業労働部長、森:労政福祉副課長、繁田:労政福祉課長補佐兼労使団体係長が出席。森本:連合兵庫会長から井戸:知事に要請書を手渡したのち、要請事項ならびに最近の経済情勢などについて意見交換しました。

2012年度 兵庫県に対する政策・制度の要請

.経済政策
1.地方税財政の確立
(1) 社会保障・税共通の番号制度の導入など、納税環境整備の法改正の動きを踏まえ、地方自治体における税務行政体制の整備や担当職員の養成等を図ること。
(2) 税制改正の内容について、住民や企業への周知・広報活動を行うこと。特に東日本大震災に関する臨時特例措置の内容などについて、他の支援措置とあわせわかりやすく網羅的に解説したホームページや広報誌をつくること。
(3) 現在取り組みが進められている「第2次行財政構造改革推進方策」にそって、その経過の評価と情報公開を行うことにより県民の理解を得ながら、更に効率的な執行の取り組みを推進すること。また財源確保のために、国に対して、地方交付税の対象税目の拡大等の働きかけを行い、財源確保に努めること。

2.地域の多様な主体との連携強化によるまちづくりの推進
(1) 地域の産業振興と雇用・労働条件の維持・安定等、地域活性化策について、産官学に地域金融機関や労働組合代表も加えた「産官学金労」が一体となって取り組みを進めること。特に「ひょうご経済・雇用活性化プログラム(平成23~25年度)」については、産官学金労が連携して検討し取り組みを推進すること。
(2) 地方自治体、民間事業者、NPOなどがそれぞれの特性を生かしサービスを提供する「新しい公共」を推進すること。あわせて、NPO・コミュニティビジネス等のいわゆる社会的企業に対する支援を拡充すること。
(3) 地域にある産業の掘り起こしを行い、中核となる地場産業等の企業群を定め、地域の多様な主体との連携を図り、関連企業・大学の誘致・育成を進めること。また、企業を支援する際は、対象企業が雇用環境の改善や地域社会に貢献する事を条件に加えること。
(4) 地域活性化に資するまちづくりを担うリーダーを市民の中から登用する仕組みづくりを進めるとともに、地域リーダーに対する効果的な育成を行うこと。
(5) 現場力を担う技術・技能人材の育成・継承の支援とともに、インターンシップを単位として認める制度を普及させるなど、地域企業と連携した高校・大学などにおける職業人としてのカリキュラム強化を行なうこと。
(6) 農林水産業の活性化のため、多様な生産組織の育成を支援するとともに、他産業との連携や規模拡大などにより経営体質の強化を図ること。特に、農山漁村の有する資源を活用した地域ビジネスを展開する6次産業化を支援し、農林水産業の活性化と雇用の創出を図ること。
(7) 介護・福祉分野、教育等地域雇用の創出につながる分野を育成・活性化し、そのために必要な環境整備を行うこと。

3.地域活性化の推進
(1) 観光案内所の増設、交通機関等での多言語表記、ICTを活用した多言語情報の提供等ハード面の整備を進めるとともに、通訳案内士の養成等多言語人材の育成を推進するなど観光産業の活性化を図ること。
(2) 海外の産業集積地の誘致策を研究し、企業ニーズにマッチするオーダーメイド型の新しい企業誘致策を実施すること。
(3) ベンチャー・ビジネスを支援するために、融資制度の拡充、地域プラットフォーム等創業支援体制の拡充、技術開発の促進策の強化等の支援を行うこと。
(4) インキュベータ施設、賃貸工場、産学連携施設等、産業支援環境を整備すること。インキュベータ施設においては、地域産業との連携や施設を拠点とした多様な人的ネットワークを生かしたビジネスマッチングを推進すること。
(5) 技術を評価し、企業に斡旋する等、コンサルティング能力、技術商社機能をもつNPOの設立を支援すること。
(6)「事業育成」の視点に立った、 地域金融機関の経営コンサルタント能力を高めることで、企業への融資姿勢を、物的担保主義・個人保証依存から、企業の将来性・発展性重視に変革することへ、より一層取り組み、顧客との長期安定的な金融取引機能による中小企業・地場産業の「育成、再生」を強力に進めること。

(7) 公共サービスは、必要とする県民に過不足なく提供されること。その実施においては、公共の規律順守のもと透明性が確保され、情報が公開されるとともに、そのサービス実施に従事する者の労働環境は、適正なものに保持されること。また、その方針にそった基本条例を制定し、良質な公共サービスを確立すること。

.雇用・労働政策
4.雇用の安定・創出
(1) 連合兵庫、兵庫県経営者協会、兵庫労働局と連携し、働く者の雇用の安定と公正処遇の確保を重視し、産業政策と一体となった地域雇用政策を確立すること。また、雇用は期間の定めのない直接雇用であることを原則とし、地域における良質な雇用機会の創出に向けた雇用対策を強化すること。
(2) 兵庫労働局と連携し、地域雇用創出プランの実現ならびに解雇・失業者対策の取り組み強化など、雇用創出と雇用安定の取り組みを展開すること。また、ハローワーク、能力開発機関の運営実態の把握と職業紹介・能力開発の連携のあり方について、労使を含めた関係者が議論できる検討の場を設置すること。
(3) 中小企業による新卒者の採用を支援するため、兵庫労働局と連携してハローワーク等を通じて積極的に採用会を開催すること。さらに、業界団体・協同組合等が共同採用会を開催する場合には、必要に応じて支援を行うこと。
(4) 兵庫労働局と連携し、若年者、女性、高齢者、障がい者等、働く希望を持つすべての者の就業促進と雇用の安定に向け、職業訓練・職業紹介・就職が連動した離職者支援の確立・強化、非正規雇用から正規雇用への転換支援等の雇用対策を強化すること。

5.すべての働く者に対する職業能力開発施策と日本の成長を支える人材育成の強化
(1) 産業政策・雇用政策・教育政策と連携した職業能力開発施策を推進すること。
① 国と地方自治体のハローワーク一体的運営により、国・地方自治体・教育訓練機関・企業・労働組合などが連携し、無料職業紹介・職業訓練・就職が連動した離職者支援体制を確立・強化する。
② 地域が主体となり、国・地域の労使・教育機関などの関係者が連携し、地域の特性を活かした中期的な産業政策、人材育成計画を構築する。
③ 公共職業能力開発施設(国・県設置)は、地域の「技術・技能センター」として位置づけ、国、地方自治体、企業が連携して、新規学卒者、離・転職者、在籍者などに対し、ものづくりなどを重視した職業訓練を強化する。
④ 公共職業訓練は、雇用のセーフティネットであること、ものづくり分野等における人材育成、技能・技術の継承・発展にとって重要な役割を担っていることを踏まえ、公共職業訓練及び実施機関(県職業能力開発校、雇用・能力開発機構運営の公共職業能力開発施設等)の安易な民間委託・統廃合を行わない。
(2) 求職者支援制度における訓練では、キャリア・コンサルタントによる求職者ニーズと求人のマッチングで就職支援を促進するとともに、企業や地域のニーズ、人材不足分野、新規雇用創出が期待される分野などにおける職業訓練や研修機会の拡大、訓練内容・訓練期間の拡充・強化を図ること。その際、柔軟かつ機動的な見直しができるよう、労使の意見を定期的に反映する場を地域ごとに設定すること。
(3) 兵庫労働局、自治体、地域の教育機関、企業、労働組合等と連携し、「ジョブ・カード制度」の普及促進に取り組む等、地域における職業能力開発機会を拡充すること。また、パート、有期契約、派遣、請負労働者等の非正規労働者、フリーター等の若年者、障がい者、母子家庭の母、雇用保険未加入者等に対する公的職業能力開発施策を強化するとともに、訓練受講者に対する経済的支援を行うこと。

6.労働関係法違反の一掃
(1) 兵庫労働局と連携を密にして、引き続き「法違反の賃金不払残業(いわゆるサービス残業)」などの一掃と過重労働につながる長時間労働を撲滅するため、労働関係法の周知・徹底、監督を更に強化すること。加えて、労働関係法の周知を図るとともに、非正規労働者を含むすべての労働者からの相談や申告に親切・迅速に対応して、労働関係法違反を一掃し、労働者の労働諸条件の確立と、安心・安全・健康を確保すること。

7.積極的雇用政策と社会保障政策との連携による取り組みの推進
(1) 兵庫労働局と連携して、改正障害者雇用促進法の内容について事業主及び公的機関に対する周知を徹底すること。

(2) 地方自治体は、民間に率先して法定雇用率を達成する立場にあることから、未達成の行政機関、地方独立行政法人、特に教育委員会における障がい者の雇用促進・雇用維持を図ること。

8.生活できる最低賃金水準の確保
(1) 兵庫労働局と連携して、地域別最低賃金、特定(産業別)最低賃金の周知を図るとともに、違反事業所の積極的な摘発を行うなど、最低賃金制度の実効性を高めること。

.中小企業政策
9.中小企業の支援
(1) 中小企業の活性化のため、引き続き、県の「中小企業融資制度」を拡充すること。あわせて政府系金融機関の事業融資制度を中小企業が活用できるよう周知等を行うこと。
(2) 中小企業の特許などの工業所有権や著作権の取得を促進し、中小企業の技術も含めた知的財産権保護と有効利用の強化に向けて、取得費用の助成や相談会の開催を行うこと。
(3) 介護事業など、公的資格を必要とし、かつ人材確保が求められる職種について、その資格取得を推進している企業を支援するしくみを検討・構築すること。

10.公契約における公正労働基準確保
(1) 民間企業への事業(工事)委託における、低価格入札に拘束された発注、極端な人件費や人員の削減、不安定雇用、下請業者へのしわ寄せを排除し、適正な労働条件とサービスの質を確保するため、「公契約基本法」の制定を国に求める議会決議を行うこと。

(2) 自治体の工事や業務委託の入札・契約にかかわる公契約条例を制定すること。その際、労働関係法の遵守、社会保険の全面適用、適正な賃金水準及び労働条件の確保等について条項を設けること。

.福祉・社会保障政策
11.勤労者福祉の充実
(1) 働く者が集い自ら学べる労働会館等の設備ならびにプログラムの充実を図ること。
(2) 働く者が地域に貢献できるボランティア活動の支援のためひょうご勤労者ボランティアシステムの更なる強化を図ること。
(3) 働く者とその家族がともにリフレッシュできるように、連合兵庫と兵庫県経営者協会が運営改善を支援している「憩いの宿」の利便性の向上を図るとともに、勤労者福祉施設の充実を図ること。
(4) 中小企業に働く者の福利厚生を促進するため「勤労者福祉サービスセンター」の運営の健全化と充実を図ること。
(5) 勤労者ならびにOBとその家族に対して、連合兵庫は様々な福祉サービスを提供する拠点を開設している。その運営スタッフ拡充やサービス充実のための人材育成などに、連合兵庫と連携して取り組むこと。

12.地域医療の充実と医師不足等の解消、医療の透明化の推進
(1) 「地域(保健)医療計画」について、救急や産科、小児科等急性期医療、高齢化の進行を踏まえた在宅医療・訪問看護などの提供体制、医療圏の設定、医師や看護職等の配置などの観点から検証を行い、2013年から始まる新たな計画に反映させること。その際、全国健康保険協会による都道府県別の医療費や健診データなど、地域医療の実態を示したデータを積極的な活用、2次医療圏単位の住民・患者の意見の反映等を進めること。
(2) 病院勤務医、中山間地域の医師不足・偏在等については、財政措置も含め、各医療機関や医科系大学と連携した具体的な医師確保対策を講じること。
(3) ひっ迫している医療現場での安全確保を図るために、夜勤交代制労働における勤務間の十分な時間の確保、労働法令の遵守、院内保育所の整備などワーク・ライフ・バランスを尊重した職場環境の改善、潜在看護師の活用に向けた研修制度の充実、労働環境の改善のための医療機関に対する財政上の措置などをすすめ、第7次看護職員需給見通しの達成に取り組むこと。
(4) 国民健康保険の保険者である市町に対して、低所得被保険者の実態を的確に把握し、保険料(税)の減免、高校生世代以下短期証の発行、非自発的失業者への保険料(税)の軽減措置の周知徹底に努めるとともに、保険料(税)減免の対象範囲の拡大や、生活保護制度への円滑な移行等、低所得者対策の充実を図るよう指導すること。
(5) 県は市町と共に、保険診療を受けた際に医療機関から患者に発行される診療「明細書」の無料発行の完全普及、「明細書」発行条件に関する適切な院内掲示の徹底を図ること。また、医療の透明化や医療費の効率化に資するレセプトの電子請求がすべての保険医療機関で実施されるよう、審査支払機関と連携をはかり、その環境整備を進めること。

13.高齢者と障がい者に対する福祉サービスの充実と権利擁護の確立
(1) 2009年度介護報酬改定及び介護労働者処遇改善交付金の趣旨を生かし、介護労働者の処遇を改善するとともに、介護を必要とする人が誰でも適切な介護サービスを受けられるよう、以下の取り組みを進めること。
① 介護労働者の質の向上や人材育成の研修等を充実させるため、都道府県による事業主・研修受講者への支援や助成を周知・拡充する。
② 介護労働者が安心して働き続けられる環境を整備するため、「介護サービス情報の報告及び公表」の調査情報項目に、従業員に対する健康診断や従業員に対する感染症対策の実施の有無、夜間を含む労働時間、労働関係法規の遵守状況、社会保険の加入状況を追加する。
③ 地域包括支援センターを中核として、地域支援事業を確実に実施する。さらに、任意事業である介護給付費適正化事業、家族介護支援事業に積極的に取り組む。また、地域包括支援センター運営協議会に被保険者代表を委員として参加させる。
④ 介護サービスの普及及び適正利用の観点から、利用方法や制度理念について、利用者、事業者に対する広報・啓発活動を充実させる。
⑤ 事業者に対する指導・監査を強化する。また、事業所が廃止される場合には、利用者のサービス継続の確保、利用者と馴染みのある関係のある介護労働者の雇用確保について行政も十分な支援を行うとともに、事業者に対しては労働関係法規・通達の遵守を周知・徹底するとともに、労働者の賃金が最低賃金を下回っている場合は、事業者指定の取消を行うなど、厳正な指導監査を実施する。
⑥ 市町に対して、制度運営のあり方に対する住民・被保険者代表の意見を反映するため、「介護保険運営協議会」を設置を求めるとともに、被保険者代表の委員を参加させるよう指導する。
⑦ 介護労働者の職場改善をはかるため、事業所に労働安全衛生委員会の設置を推進すること。
(2) 高齢者虐待防止法や地域包括支援センターの役割について住民に積極的に周知し、認知症等の高齢者が行うサービス事業者との契約や金銭管理等についての権利擁護システムが積極的に利用されるよう促すこと。また、要介護者の家族のみならず、障がい者の家族や子育て期の親を対象とする相談員事業の拡充と相談員の資質向上に取り組み、福祉サービス利用者の家族に対する総合的な相談・支援体制を整備すること。
(3) 障がい者の自立支援と社会参加促進の観点から、利用者の実情に応じた障がい者支援サービスを適切に提供すること。
① 障害福祉計画に基づき、地域における障がい福祉サービス基盤を整備し、移動支援等の地域生活支援事業も含め、必要なサービス量が確保されるよう、都道府県、市町村は十分な財政措置を講ずる。
② 障がい福祉サービスの利用者負担、施設居住費・食費、自立支援医療の自己負担等については、障がい者の負担能力に配慮して適正かつ公平な負担とし、負担可能な費用でサービスを利用可能とする。また、自立支援給付に対する国庫負担基準の超過支給を行うなど、必要なサービスの利用抑制につながらないよう配慮する。
③ 障がい者本人の希望を尊重して作成されたサービス利用計画案に基づき支給決定が行われるよう、相談支援体制を確立する。
④ 障害支援区分の審査及び認定を行う市町村審査会には、国会決議に基づき、障がい者施策、実情に詳しい者を含める。
⑤ 障害者権利条約の批准に向け、障がいのある人の社会参加を阻む物理的・心理的バリアを解消し、完全な平等を達成するために、障がいに基づくあらゆる差別を禁止する条例を制定する。
(4) 2010年4月に策定された「兵庫県地域福祉支援計画」に沿って、高齢者福祉や障がい者福祉等を含めた総合的な「(市町)地域福祉計画」の未策定の市町に計画策定を促すとともに、住民参加の下で計画の実施状況を検証しながら、地域のなかで支え合うという地域福祉をさらに推進すること。
(5) 高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法、2006年制定)に定められた移動等円滑化の実現に向け、市町に対して「移動等円滑化基本構想」の策定を指導、支援すること。あわせて、その「基本構想」策定にあたっては、当事者である高齢者、障がい者などが具体的な提案に参加できる仕組みとなるよう指導すること。

14.生活保護や生活支援の運営体制の改善・充実
(1) 生活保護を必要としている人への保護が確実に行使できる運営体制の改善・充実を図ること。
(2) 離職者や生活困窮者に対する「生活福祉資金貸付制度」や、「臨時特例つなぎ資金貸付事業」、「住宅手当緊急特別措置事業」など各種給付や融資の制度の周知を徹底すること。
(3) ハローワークや社会福祉協議会等との連携により、労働相談や生活相談等の「ワンストップ・サービス」を推進すること。

.国土・住宅政策
15.安全・安心の住まいとまちづくりの推進
(1) 災害に強いまちづくりを推進するため、「改正耐震改修促進法」(2006年)において、「2015年までに建築物の耐震化率を少なくとも90%に引き上げる」とした目標達成に向け、実効ある耐震改修促進計画を策定すること。また、電気・ガス・通信・上下水道、学校・病院・道路・橋梁・鉄道・バス・港湾・空港などの施設・設備の耐震補強および老朽化対策を強化し、緊急情報システムを含むライフラインの安心・安全を担保すること。

(2) 阪神淡路大震災はもとより、最近の台風などによる自然災害の状況をふまえ、防災計画や防災予測地図(ハザードマップ)の整備・充実を進めること。その上で、県民に防災計画の周知徹底をはかり、自然災害への地域の対応力を強化すること。

(3) 高齢者や障がい者を含む、すべての生活者が快適に暮らすことができる、ユニバーサルデザイン(言語・老若男女・能力・障がいの如何を問わずに利用できる施設・製品・情報等の設計)を取り入れたまちづくり、また、行政・教育・医療・介護・生活などの機能を集約した効率的なまちづくり(コンパクトシティ)を推進すること。
(4) 「居住の権利」を基本的人権として位置づけ、低所得者や高齢者、障がい者、子育て世代等、特に配慮が必要な世帯への公的賃貸住宅の供給や、民間の優良賃貸住宅に対する支援を強化すること。
(5) 「住生活基本計画(都道府県計画)」の見直しや、「住生活基本計画(市町計画)」を策定する際には、労働者代表の意見反映と協議参画を図ること。
(6) 公共交通の維持・確保に必要な事業者に対する支援を拡大するとともに、利便性の向上と利用促進を図るため、「地域公共交通活性化・再生法」及び「道路運送法」に基づく協議会等を設置し、労働組合や地域住民等の多様な主体の参画のもと意見反映を行うこと。

.教育政策
16.教育の機会均等と格差是正、労働教育・社会教育の推進
(1) 教育予算を大幅に増額し、公的な教育支援制度の充実を通じた家計負担の軽減をはかること。また、教育の機会均等に資する実効性ある運用が行われるよう、制度の周知徹底に向けた啓発・広報活動、成果と課題を把握するための体制整備を行うこと。
(2) 教育委員会は、子どもの成長段階に応じて、働くことの意義、働く者の権利・義務、ワーク・ライフ・バランスや、労働組合の必要性等、「労働の尊厳」を深く理解し、勤労観・職業観を養うための系統的な労働教育を行うこと。
(3) 教育委員会は、参政権・生存権、社会のマナーやルール、社会保障と税や、環境、食、農業、資源・エネルギー、ICT、消費行動等、自立した社会人として必要な知識・意識を身につけるための社会教育を充実すること。
(4) 教育委員会は、全ての教育課程において、労働体験やものづくり教育の内容充実、および進路選択における判断材料の充実等に向け、授業・講座に労働組合等が参画できるしくみをつくること。

.環境政策
17.低炭素社会の実現に向けた気候変動対策の着実な実行と公平・公正で実効性のある2013年以降の国際的枠組の構築
(1) 地球温暖化対策の他、環境政策全般の策定過程においても、政・労・使の他、地域社会の代表など、様々な主体が協議に正式に参加できる仕組み「緑の社会対話(仮称)」を構築すること。

(2) 地方自治体は、市民参加による「地球温暖化対策地域推進計画」「地球温暖化対策地方公共団体実行計画」の策定・見直しを推進すること。ただし、その計画が県民や企業にとって大きな負担となって、経済や国際競争力に影響を出すことが無いよう、また数値目標が一人歩きし、目標を達成するための行き過ぎた政策にならないよう配慮すること。

(3) 温室効果ガス排出削減に向けて、「3R活動」・「見える化」の推進等、各種施策を実施すること。

特に、電力の「見える化」を推進するためスマートタップやスマートメーターの設置に対する支援を行うとともに、節電の成果に対するインセンティブを付与することにより、地域の民生部門における温室効果ガスの排出削減と電力消費の抑制を推進すること。
(4) 「ノー・マイカー・デー」の設定や「パーク・アンド・ライド」などエコ通勤の促進等により環境負荷低減となる取り組みを推進すること。
(5) 地方自治体は、率先かつ前倒しして、「グリーン購入」を拡大すること。

.食料・農林水産政策
18.食料自給力の強化と持続可能な農林水産業の確立
(1) 地域の自然的経済的社会的諸条件に応じ地域版「食料・農業・農村基本計画」を事業者や地域の多様な主体との協働により策定し、6次産業化や食料輸出の促進を図ること。
(2) 地域の食料自給や地産地消の取り組みについて目標を設定し、地域の食料自給力を強化すること。そのため、フードマイレージの普及や地域農産物の消費拡大について啓発等の施策を推進すること。
(3) 食育基本法に則り地域の特性を生かした「食育推進計画」を策定し、地域産食材を使用した学校給食や休耕地を利用した学習農園等を通じて、地域への関心や地産地消に対する意識の醸成を推進すること。
(4) 食の安全確保に向けて、保健所における食品衛生業務を拡充し、食品に関する苦情相談や製造・流通等への監視を強化することにより、食品の安全性の向上を図ること。
(5) 森林整備の促進をはかるため国と連携し、民有林の森林簿を早急に整備するとともに、流域の関係自治体と連携し木材生産の集約化を促進すること。

.消費者政策
19.消費者保護政策の強化と推進
(1) 「ひょうご消費生活三者会議」において、地域の多様な主体の参加で消費者保護・被害者救済のための政策策定に努めるとともに、「生活科学総合センター」等の相談機能の更なる充実を行うこと。
(2) 高度化する消費者からの相談に的確に対応するため、相談員の確保や相談への対応力強化を図るため、相談員の雇用形態・処遇を改善するとともに、能力開発を充実させること。
(3) 消費者団体・事業者団体・専門家等と連携し、学校や地域、職域などにおいて消費生活に係わる情報提供を行うとともに、知識やスキルの普及を促進するための消費者教育の充実を推進すること。

.人権・平等政策
20.差別撤廃の取り組み
(1) 採用選考時の面接等において、いまだに差別につながる違反質問が行われている実態から、兵庫労働局など関係機関と連携して、さらに企業等への研修強化および行政指導の徹底を図ること。

(2) 結婚、就職等の差別につながる8士業による戸籍謄抄本等の不正取得事件が未だ後をたたない。戸籍謄抄本等の発行については、市町の所管事務であるが、全国的にひろがりつつある「戸籍謄本等第三者取得に対する本人通知制度」の兵庫県内実施をめざして、市町に対する指導・助言、また県民に対する周知を行うこと。

21.男女平等社会の実現
(1) 国の「第3次男女共同参画基本計画」や「新ひょうご男女共同参画プラン21」に基づく施策の進捗状況を検証し、ポジティブ・アクションや推進体制の強化を図る等、施策の実効性を高めること。
  また、県下全市町における取り組み推進のため、男女共同参画に関する条例制定、計画策定に向け、市町との連携を強化すること。

(2) 雇用分野における男女平等実現のため、兵庫労働局と連携して、性別による差別の禁止、間接差別の禁止、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止、セクシュアル・ハラスメント対策の強化措置等、改正男女雇用機会均等法の履行のための周知などの取り組みを行うこと。

22.パートタイム労働者の均等・均衡処遇の実現
(1) すべてのパートタイム労働者の均等・均衡処遇の確立、労働条件の向上に向けて、兵庫労働局と連携して、改正パートタイム労働法を周知し、定着に努めること。

.仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進
23.子育てや介護をしながら働くことが普通にできる社会の実現
(1) 連合兵庫・兵庫県経営者協会・兵庫県・兵庫労働局の四者合意に基づいて設置された「ひょうご仕事と生活センター」を核に、働く意欲を持っている一人ひとりが、各々の生活段階において、仕事と生活を調和させ、十分に能力を発揮して働くことができる社会の実現を図るため、働き方の見直しによる「仕事と生活の調和」の啓発と普及の事業を推進すること。
(2) 核家族や地域社会における人間関係の希薄化等の子育て環境の変化に伴い、孤立しがちな母親の育児の負担感や不安感が増大し、家庭のみでは子育てが困難となっていることを踏まえ、地域ぐるみの子育て支援の実現を図るため、地域における子育て支援として以下の取り組みを推進すること。
① 子育て支援をしているボランティア団体や活動資金援助組織への支援
② 男性の子育てへの参加推進と子育て応援企業等への総合的支援
③ 地域コミュニティにおける病児・病後児保育体制の構築
(3) 育児や介護を担っている人が、働き続けることのできる社会、また育児や介護を理由に一度退職した人が再度仕事に就き、働くことのできる社会の実現を図るため、以下の取り組みを推進すること。
① 育児休職や介護休職の取得推進と復帰時の支援
② 出産や育児等を理由として退職した人を再雇用する制度の導入及び活用促進
③ 出産・育児や介護などのために一度退職し、再び就職や地域活動などにチャレンジする人などの総合的な支援
(4) 「子ども・子育て新システム検討会議」の動向もふまえながら、育児を担っている人が、働き続けることができるよう、各自治体と連携して、学童保育・保育所・認定こども園などの整備・充実を図ること。
(5) 兵庫労働局と連携して、改正育児・介護休業法の内容について、事業主、労働者等に対する周知を徹底するとともに、企業・事業主への法令遵守に向けた指導・監督と、労働者の相談に的確に対応すること。
(6) 兵庫労働局と連携して、次世代育成支援対策推進法に基づいた企業の取り組みの周知とその取り組みを支援するとともに、従業員100人以下の中小企業についても法の主旨周知ならびに行動計画の策定推進やその支援など、中小企業における次世代育成支援対策を推進すること。

.政治改革と公務員にかかわる制度改革
24.地方議会の活性化と投票しやすい環境の整備
(1) 兵庫県及び各市町議会は、議会の基本理念、議員間討議による合意形成、政策機能の強化、住民参加、情報公開徹底などのための議会基本条例を制定するとともに、住民の議会傍聴を促進するため、夜間・休日開催や、本会議・委員会のインターネット中継等に取り組むこと。
(2) 市町選挙管理委員会に対して、投票率と利便性の向上のため、投票所(期日前投票を含む)を増やすとともに、頻繁に人の往来がある施設に設置するよう指導すること。
(3) 障がい者がより投票しやすくするため、投票所案内はがきや投票用紙などの点字化、投票所のバリアフリー化、投票所への移動の保障を行うこと。
(4) 投票、開票の作業効率化等のため、電子投票制度や自治体選挙における記号式投票の採用拡大を行うこと。

25.公務員の労働基本権確立と公務員制度改革
(1) 公務員の労働基本権の確立とその対応には誠意を持って取り組むこと。
(2) 行政改革の実施により、行政機関・独立行政法人等に働く者の労働条件、雇用に影響が予想される場合には、必ず事前に関係労働組合との交渉・協議を行い、労働条件の維持、雇用の確保に万全の対策を講ずること。